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[2008.06.27] ローンについて〜資金調達の危険

 近年、『三丁目の夕日』という映画の公開などもあって、懐かしんだり憧れたりする人が多い昭和30年代。これもまた一過性のブームなのかもしれませんが、個人金融の世界で言えば、その前半には、今はその存在が当たり前のようになっている「長期の住宅ローン」というものはありませんでした。
 公的なものはそれ以前からありましたが、民間の住宅ローンが登場するのは昭和30年代の真ん中頃。高度経済成長が始まる直前です。何よりもがむしゃらに働いて毎日・毎月の生活を維持し、少しでも向上させるのに精一杯で、あまり遠い将来のことを考える余裕がなかったのでしょう。また「借金」そのものが一種の罪悪感を呼び起こす行動であり、今ほどお気軽なものと考えられていなかったのだと思われます。
 しかし時代は移り、家を持って一人前、そのためなら借金も辞さないという価値観の大きな変化が起こって、今では、30年・35年の借金も当然、福田首相肝いりの『200年住宅』を手に入れるならとりあえずの50年ローンもありといった考え方まで登場しています。50年間というと、今20歳の人が70歳になる までの間ということで、何とも気宇壮大な話ではありませんか。
 しかし、30年・35年という長期ローンを可能にした背景の一つに、日本型の雇用慣行=終身雇用・年功賃金があり、その裏付けとしての長い経済成長とこれにともなうインフレと広範な賃金上昇の同時・同等の進行があったことを忘れてはなりません。
 今や働く人の三分の一が非正規雇用。正規の人でも、食料品・石油製品などの物価が上がっても賃金は伸びず、多少はあるらしい経済成長の果実が広範に分配されることがなくなっています。普通に生きている人は、少ない果実の奪い合いでは確実に負けます。
 長期・超長期の住宅ローンというのは、ごく一部の、将来をそれなりに保証されている恵まれた人たちだけのものになったと思います。そうでない人にとっては、「借金は罪悪」であり、非常に危険でもある時代に、再び入りました。


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