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災害・事故

[2008.05.14] 間に合わない「緊急地震速報」

 5月8日午前1時45分ごろ、茨城県沖を震源とするマグニチュード7.0の地震が発生。「マグニチュード(M)」は地震エネルギーの大きさで、「震度」はその地域における揺れの大きさを表している。つまり、同じMでも震源から離れれば震度は小さくなり、近ければ激しく揺れることになる。Mが「1」増えるとエネルギーは約32倍で、関東大震災(M7.9)と単純に比較すると、M7.0は約22.8分の1のエネルギーでしかない。
 しかし、昨年7月に死者15人、重軽傷2,360人、損壊建物42,010棟の被害を出した新潟県中越沖地震もその前の中越地震も今回よりやや小さいM6.8だった。同じようなMでも新潟の2地震は活断層の浅い(深さ20Km未満)直下地震で、今回の地震は陸地から約100Km離れた海底で、震源の深さ約50Kmのプレート沿いで発生したものと推定とされている。つまり、遠く離れていたことで揺れは小さくて済んだと思われる。それでも、茨城県水戸市と栃木県茂木町で震度5弱の揺れを記録し、18歳から87歳の男性6人が負傷した。
 
 昨年10月の本格運用開始以来、緊急地震速報の全国発表は今回で2例目。1例目は4月に発生した沖縄県・宮古島沖の地震で、気象庁は初めて本格的に緊急地震速報を発表した。緊急地震速報の発表基準は「震度5弱以上になる揺れと予測された場合で、震度4以上の揺れになると想定される地域に発表する」というものだった。
 ところが、4月の地震は宮古島から約40Km離れた地震で最大震度4でしかなく、発表基準に満たないのに発表してしまった。その上、震度4の揺れがきてから6秒後の発表で間に合わなかったことについて、気象庁は「震度5弱に満たないのに緊急地震速報を発表したのは誤差の範囲、遅れたのは震源が近かったから」とコメントしていた。

 しかし、今回は100Km離れた遠い震源の地震だった。「近い震源の場合は速報が遅れる」という言い訳は許されない。にもかかわらず緊急地震速報が発表されたのは、震度5弱の水戸で揺れの40秒後、茂木でも38秒後だった。新聞には「またも間に合わなかった緊急地震速報」と書かれた。
 「減災の決め手」「世界初の事前予測型防災対策」「画期的システム」と喧伝された緊急地震速報は、誤報、遅れで信頼を失墜したかに見える。これでは、本当に大きな地震を観測して揺れの前に緊急地震速報が発表されても、「また外れるだろう」という狼少年のように受け止められ、安全行動をとらない人が出てきたら速報価値は半減する。また、高速道路で運転中に緊急地震速報が発表されたとき、急いで安全行動をとろうとする人と無視する人が別々の行動を取ろうとすれば、かえって混乱し危険を招く可能性もある。
 気象庁地震津波監視課・横田課長は「より早い段階で、予測する必要がある」ともっと正確に予測すべきとの認識を示したが、今ごろそんなことを言われても・・・。

 この際一度仕切りなおし、少し時間がかかっても予測技術向上をはかった上で本格運用しなおすべきではないか。せっかくのシステムを台無しにしないためにも、気象庁は功をあせらず信頼を取り戻すための努力と決断を怠ってはならないのだ。


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